総勘定元帳

仕訳帳と勘定科目試算表

 仕訳帳と並ぶ主要簿の総勘定元帳を仕訳帳から作ってみます。

  • 仕訳帳1ページの取引番号001の仕訳は、総勘定元帳中(数字はページ番号)現金勘定(1)の借方に 6,000,000 と記入し、資本金勘定(200)の貸方に 6,000,000 と記入することを表現しています。仕訳帳の元丁欄の数字は記入した総勘定元帳のページ番号に対応しています。
  • 実際の帳簿記入では科目数や取引量を考慮して口座の位置を決め、総勘定元帳にページ番号を付けます。
  • 現金勘定(1)借方の1行目に仕訳帳から転記します。日付の次の摘要欄には、現金が増えた原因・理由・目的・手段等の説明である相手科目(資本金) を記入します。仕丁欄には転記した仕訳がある仕訳帳のページ、この場合は1ページになりますから1と記入します。
  • 資本金勘定(200)貸方の1行目に仕訳帳から転記します。日付の次の摘要欄には、資本金が増えた原因・理由・目的・手段等の説明である相手科目(現金) を記入します。仕丁欄には同じく1と記入します。

 同様に、その他の仕訳も総勘定元帳に転記します。

  • 赤い単線赤い複線ではさまれた行が、その月の合計です。行が余ったら改ざん防止のため赤い三角線を引きます。

 この講座で使っている元帳の形式を標準式元帳といいます。この形式は借方と貸方の区別がわかり易く、行数も少なくて済むので、簿記テキストによく使われます。さらに簡略にした元帳がT字形T字勘定またはTフォームです。⇒Tフォーム商品勘定
実務で使われるのは、残高式元帳という形式の元帳です。⇒残高式当座元帳

 「勘定科目によって増減を借方と貸方のどちら側に記入するか」の決まりがあり、この決まりを貸借記入原則といいます。また、勘定科目には、コンピュータのフォルダーに似た階層があります。
 1月の取引にでてきた勘定科目を階層的に表現すると下の表3のようになります。減少はその反対側に記入します。

  • フォルダーは5つあり、それぞれのフォルダー名は資産、負債、資本、費用、収益です。
  • 各フォルダー内のファイルは、グループ化の基準を変えるごとにファイルの数が増減したりします。
    • 例えば、水道料と電気料を独立させれば、ファイル名 (水道光熱費) のファイル=勘定科目が無くなり、新たにファイル名(水道料)とファイル名 (電気料) の2つのファイル=勘定科目が増えます。(授業料売上)と、後から出てくる (書籍売上) を、あまりお勧めできませんが一つの科目 (売上)にまとめてもかまいません。
    • ファイル名(勘定科目名)には、名前から資産、負債、資本、費用、収益のどこに属し、どんな性質の科目なのかが理解できるような名前を使います。
    • 検定試験の勉強だけでなく、実務にも日本商工会議所簿記検定試験許容勘定科目表(pdf)」が非常に役立ちます。
      • ある勘定科目の名前として「簿記検定試験許容勘定科目表」内の名前を採用することも、仕訳を起す人が属する企業における「取引の性質が類似したものを集計するためのグループ」に、名前を付けていることになります。

 増加と発生の使い分けに注意して下さい。取引8要素の結合関係表に関連します。

 簿記にはフォルダーとファイル間のサブフォルダーに相当する階層がありますが、この講座では扱いません。
 5つのフォルダーを極々簡単に説明しますが、学説を説明したら数行では済みません。出版物で調べて下さい。
 資産とは、企業が所有する金銭的に価値のある財貨や金銭債権です。表3の他に預金・有価証券・受取手形・売掛金・貸付金などがあります。
 負債とは、一定の金額の金銭を他人に返済したり支払う義務です。表3の他に買掛金などがあります。
 資本とは、企業主の元入・出資 + 企業努力の結果である利益です。表3の他にいくつかの科目がありますが、この講座では扱いません。
 収益とは、企業が商品やサービスを提供したときの対価です。利益の増加要素で、結果的に資本の増加項目になります。表3の他に受取利息などがあります。
 費用とは、企業を運営するために消費した財貨やサービスです。利益の減少要素で、結果的に資本の減少項目になります。表3の他に多数あります。
 それから利益損失という用語もよく使われますが、

T@ 収益>費用の場合 : 利益 = 収益 − 費用
A 収益<費用の場合 : 損失 = 費用 − 収益
U@ 費用を伴う利益が収益
A 収益を期待する損失が費用

というように、使われる局面によって収益と利益、費用と損失、それぞれの包含関係が変わります。


主要簿とは、仕訳帳と総勘定元帳のことです。
口座とは、総勘定元帳における勘定科目毎の記入紙面のことです。
転記とは、仕訳帳の仕訳を総勘定元帳に写しかえることです。
余談
  • 総勘定元帳の摘要について:
    • 仕訳帳の摘要同様に記帳したほうが便利。
    • コンピュータ会計では伝票(仕訳)入力時の摘要が、そのまま総勘定元帳の摘要になります。
    • 数冊調べた英文会計の本には、「英文簿記での総勘定元帳には、相手勘定を記入せずに摘要のみ記入する」とありました。

  • 手書き記帳での訂正について:
    • 手書きによる記帳の場合、文字・数字のミスは見え消し見え消し)で訂正します。
    • 金額欄の数字の場合はその金額すべてを見え消しで訂正します。
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