貸倒損失と貸倒引当金

受取手形・支払手形有形固定資産の取得
  • 貸倒れとは、売掛金や受取手形の一部または全部が、相手先の倒産などで回収不能となることです。
  • 今年(今期)の売上げ分が貸倒れになった場合には、借方に 貸倒損失勘定(費用勘定)を使います。220
    • 貸倒損失として処理した金額の一部または全部が、処理した同じ年(期)に回収されたときは、貸方に貸倒損失勘定を使います。280
    • 次の年(期)以降に、貸倒損失として処理した金額の一部または全部が回収されたときは、貸方に償却債権取立益勘定(収益勘定)を使います。

  • 期末の売掛金や受取手形の残高が、次の年以降に貸倒れになる危険性があります。

  • 決算に際し、この予想される貸倒れを見積もって、その年の費用にする必要があります。その見積もった金額の処理には、借方に貸倒引当金繰入勘定(費用勘定)、貸方に貸倒引当金勘定(資産の評価勘定)を使います。290
    • 見積金額を算定するのには、@売掛金・受取手形などの期末残高に一定率を掛ける方法や、A売上高に一定率を掛ける方法などがあります。この講座では、@の方法によりました。

  • 売上げの翌年以降に貸倒れが起こった場合、前の年に貸倒引当金を設定した部分の金額は、借方に貸倒引当金勘定、貸方に売掛金勘定や受取手形勘定を使います。
    • 前年残の売掛金・受取手形の貸倒れ金額のうち、設定してあった貸倒引当金の残高を超えた部分は、借方に貸倒損失勘定、貸方に売掛金勘定や受取手形勘定を使います。

  • 2年目以降の決算時に前年に設定した貸倒引当金が残っていれば、その年の期末の売掛金や受取手形の残高で見積もった金額から、残っていた貸倒引当金の残高を引いた金額を、借方に貸倒引当金繰入勘定、貸方に貸倒引当金勘定と仕訳して、貸倒引当金を追加します。これを差額補充法といいます。
    • @前年設定残高 < 当期見積額 の場合 
       当期見積額 − 前年設定残高 = 当期繰入額
      A前年設定残高 = 当期見積額 の場合
       なにもしません。
      B前年設定残高 > 当期見積額 の場合
       前年設定残高 − 当期見積額 = 当期取り崩し額 となり、借方に貸倒引当金勘定、貸方に貸倒引当金戻入益勘定(収益勘定)の仕訳をします。

  • 差額補充法に対し、洗替法とは、貸倒引当金の前年設定残高を全額取り崩し、当期見積額を新たに貸倒引当金勘定に計上する方法です。日商簿記2級の出題範囲です。

評価勘定とは、特定の勘定に付随して、それの減算額または加算額を示すための勘定のことです。減算額を示すときは、本来の勘定とは貸借が逆の側に残高が残ります。貸倒引当金の場合は、売掛金勘定や受取手形勘定などに付随し、貸方に残高が残ります。
余談
  • 貸倒引当金の繰入率について:
    • 貸倒引当金の繰入率(売掛金・受取手形などの期末残高に掛ける一定率)は、法人税法と所得税法でそれぞれ業種毎に法定繰入率が決められています。その他に実績率を使うこともできます。
    • 「法人税法施行令 第九十六条 〜 第九十八条」、「所得税法施行令 第百四十四条 〜 第百四十七条」を参照して下さい。
      電子政府の総合窓口の「法令データ提供システム」で「法人税法施行令」、「所得税法施行令」を検索できます。


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複式簿記貸倒引当金評価勘定
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