付録:仕掛品・製品の期末評価(売価還元法)

修了付録:会計ソフトと朱書
  • 余談9最終仕入原価法のことを書きましたが、私は最終仕入原価法で仕掛品と製品を評価する方法を知りません。その代わりに売価還元法による評価方法を説明します。(売価還元法は、デパートの期末商品評価を例にして説明されることが多い方法です。) ⇒(nta.go.jp)内Google検索結果:売価還元法Wikipedia:売価還元法
  • 売価還元法による評価とは、製品の売価に対する製造原価の占める割合(原価率)を期末の製品、仕掛品に掛けて評価することです。
  • 原価率は次の式で求められます。

    (製造)原価率=期首製品棚卸高+期首仕掛品棚卸高+当期製造費用
    当期製品売上高+期末製品売価+*期末仕掛品売価換算額

    *期末仕掛品売価換算額は、期末仕掛品が完成し製品になった時の売価に、製造進捗度(時間的な工程の進行割合では無く、予想される完成品原価に占める原価の投入割合)を掛けたもの
  • 下記T字フォームのデータから期末仕掛品と期末製品を評価してみます。

材料仕入
当期材料仕入高300製造300
300300

労務費
当期労務費400製造400
400400

経費
当期経費500製造500
500500

(決算時に使う勘定 - 製造原価報告書の素)
製造
期首材料棚卸高10
期首仕掛品棚卸高50損益?
材料仕入300
労務費400期末材料棚卸高?
経費500期末仕掛品棚卸高?
1,2601,260

(決算時に使う勘定 - 損益計算書の素)
損益
期首製品棚卸高30製品売上高2,418
製造?
当期純利益?期末製品棚卸高?
??

その他の条件は次のとおりとします。
期末材料棚卸高:20 (適正に評価した金額とします。最終仕入原価法で評価することは容易)
期末製品売価:50
期末仕掛品が完成した場合の売価:90
期末仕掛品製造進捗度:0.8
その他の収益、費用は無いものとします。

原価率(0.5)=期首製品棚卸高(30)+期首仕掛品棚卸高(50)+当期製造費用(*290+400+500)
当期製品売上高(2,418)+期末製品売価(50)+期末仕掛品売価換算額(90×0.8)
*期首材料棚卸高(10)+当期材料仕入高(300)−期末料棚卸高(20)
期末製品棚卸高=50×0.5=25
期末仕掛品棚卸高=90×0.8×0.5=36

材料仕入
当期材料仕入高300製造300
300300

労務費
当期労務費400製造400
400400

経費
当期経費500製造500
500500

(決算時に使う勘定 - 製造原価報告書の素)
製造
期首材料棚卸高10
期首仕掛品棚卸高50損益1,204
材料仕入300
労務費400期末材料棚卸高20
経費500期末仕掛品棚卸高36
1,2601,260

(決算時に使う勘定 - 損益計算書の素)
損益
期首製品棚卸高30製品売上高2,418
製造1,204
当期純利益1,209期末製品棚卸高25
2,4432,443
  • このページで説明した方法は、製造着手時に生じることの多い直接材料費と製造の進行につれて継続的に生じる加工費の区別をしない、期末製品と期末仕掛品を評価するための一時しのぎの方法です。税務申告に耐え得る方法かどうか判りません。
     ⇒税務手続の案内:法人税
     ⇒税務手続の案内:申告所得税
  • 一時しのぎでなく合理的な期末製品と期末仕掛品の評価方法に興味が有る方は、日商簿記2級:工業簿記を勉強して下さい。
  • 本格的に原価計算を勉強したい方には、
    原価計算 岡本 清 (著):国元書房
    を推薦します。
    私はこの本を何度も読み、内容が理解できた時は幸福な気分になった大好きな本です。完全工業簿記もこの本で学びました。


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